どりふてぃんぐそうる

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2021冬アニメ感想① 無職転生/五等分2期/IDOLY PRIDE/リゼロ2期/ひぐらし業/ウマ娘2期

最近のアニメ、続編とかリメイク多すぎませんかね

 

 

 

無職転生

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ぼちぼち面白かった。異世界転生作品の主目的が現実世界での報われなさの反動で異世界で無双して気持ちよくなるとか、自分を追放した奴に復讐するとか、要するに俺TUEEEになって久しいが、本作は一貫して主人公の目的が「人生をやり直す」ことなのは一周回って新鮮さを感じる。

現世で引きこもりの主人公(=ルーデウス)は転生した時点でそれなりの才能はあるが、所詮子供にしては優秀くらいのレベルでありギレーヌなどの手練れの大人には敵わない。しかも転生しても精神性は元のままなため序盤は外出したり異性と会話することもままならない。これらの設定は本作が主人公の前世でのコンプレックスの克服に重心があるためだろう。流行りの無双系なろう作品であれば転生した時点で世界最強で、いとも簡単に敵を倒して美少女が群がってくる。ところがルーデウスはそれなりに痛い目を見るし困難にも直面する。きちんと時間をかけて努力するし正しく成長してコンプレックスを克服していく。終盤にはおよそ真人間の精神性を獲得し「前世をやり直す」ことも成功しているように見える。しかし主人公の決定的な欠点は第9話で明らかになる。それは突然精神世界に超越者たる神が現れ主人公を現世に帰そうとするシーンだ。ここで主人公は現世に帰ることを異常に怖がる。それは異世界で手に入れた環境を捨てることではなく、現世での醜悪な自分に戻ることへの恐怖だった。普通に考えれば異世界で精神的成長を遂げたから現世に帰っても前向きに生きていけるという帰結になるはずが、ルーデウスというキャラクターを介することでしか成長できなかった主人公はそうはなれない。コンプレックスを克服した主人公の精神性はルーデウスというキャラクターをロールプレイすることが前提条件だったのだ。この問題を2期でどう克服するのか期待している。尤も2期以降こんな話題は出なくて普通のファンタジーになってしまうかもしれないが・・・。

 

 

五等分の花嫁2期

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五等分って春場ねぎの絵柄の一枚絵の魅力で成り立つ部分が大きかったんだなと再認識した。ラブコメとは言ってもコメディ部分は元々面白くなくて、キャラの可愛さと正ヒロインが誰か推理することを楽しむ作品なので、結末を知っているかつアニメの絵柄で完全に楽しめるわけがないといえばそうなのだが、予想を下回る満足度だった。最初からあまり期待してなかったのでゲームの片手間に見る程度の集中力で見てたのがよくなくて、真剣に見てたらもう少し感想も変わったかもしれないが多分3期は見ないのであまり関係ないだろう。

 

 

IDOLY PRIDE

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1話の期待値は高かったがそれを更新することなくゆっくりと下降していった。アイドルアニメってキャラ付けが上手くないと名前すら覚えられず終わることが多いが、その例に漏れず主要4人くらいしか名前を覚えられなかった。一応2グループに分けることで努力している様子は感じられたが、「年増」「バンドリの今井リサに似たキャラ」くらいの解像度でしか記憶に残っていない。

内容の話をすると、個人で圧倒的なカリスマを持っていた麻奈を超えるためにグループアイドルになるという理由付けはよかったが、結局両グループとも麻奈と深い繋がりのある琴美とさくらにフォーカスが当たっていてグループの長所を活かせなかったように感じた。最終話は薄々予想してた両グループ同率優勝というゆとりの運動会みたいなラストに本当になって笑いそうになってしまった。総じてキャラも内容も来月には忘れてそうな虚無アニメだった。

 

 

Re:ゼロから始める異世界生活2期

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リゼロはループジャンルの作品であるがスバルは積極的には死に戻りを利用しない。その理由は二つあり、一つは死に戻りには肉体的苦痛が伴うから、もう一つは死に戻りの際に見捨てることになる世界での仲間の死に対しスバルが精神的苦痛を伴うからだ。ところが2期のラスボスとなるロズワールは死に戻りを強制させる。本来であれば死に戻りの活用はそれほど嫌悪するものではないが、スバルは死に戻りへの倫理観があるためそれを明確に拒絶する。ロズワールが課した試練は死に戻りを活用しないと突破が困難であり、ループを活用して勝っても倫理的に敗北し、活用しなければそのまま人生が終わる詰み状態となったのが前半クールのあらすじだ。

これに対しスバルは仲間の力を借りてループせずに勝利するという解決法をとる。リゼロはスバルが絶望的な状況を死に戻りを使って乗り越えるところが魅力のひとつであり、1クール丸々死に戻りしないのは挑戦的だ。スバルは自身には死に戻り以外能力を持たないため、これまでも仲間を作り困難を乗り越えてきた。ただそれは死に戻りを利用したものであり、ループによって相手の考えや行動パターンを把握して説得するものであった。ところが今回は最後の周回の時点でおよそ攻略の糸口はつかめておらず、それどころかガーフィールの行動パターンはランダムで予測も不可能だった。2期での勝利は打算のない仲間への信頼によってのみ成り立つものであったし、だからこそ最終的に真の意味でエミリア陣営が結束する終わり方であったように思う。自身の幸福を追求し、切り捨てるループ先世界の仲間も見捨てないというループにおいては足枷となるスバルの倫理観があるからこそ、ループせず仲間の信頼を勝ち取る結論は納得できるし、ループせずとも面白いリゼロの底力を見せつけられた。

 

 

ひぐらしのなく頃に

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これまでループ者は梨花一人であったが、業においては沙都子もループ者となる。沙都子はリゼロのスバルとは対照的に積極的にループを活用する。番号式のパスワードを解くためにループを繰り返し総当たりで強引にロックを解除したり、ループすればこの世界は自分には関係ないからと梨花を躊躇なく殺すなど、一連のループ活用展開は沙都子の異常性を際立たせる。一つの大切なもののためにそれ以外の全てを切り捨てる思考はロズワールに近い。そしてループ先の記憶を保持できる点で沙都子はループにおいて梨花の上位互換といえる。

絶望を乗り越えるために仲間を信頼し協力する手法はひぐらし無印において使われたが、今回は仲間である沙都子がボスであるためどう解決するのか楽しみにしている。

 

 

ウマ娘2期

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今期一番感動した。オタクの盛り上がりに影響されて1期から見たが、敗者の物語であるという点で2期の方が好み。

後から知ったのだがウマ娘の展開は史実を基にしており、(そう考えれば当然だが)1期2期を通して通底している設定として「負けない者はいない」がある。勝負事において真に難しいのは勝つことではなく勝ち続けることであり、現実を下敷きにしたウマ娘においてそのことは顕著だ。コースの相性差やメンタルで強いウマも普通に負けるし、例え勝っていても故障で選手生命を絶たれることもありビジュアルに反してシリアスな世界観となっている。

1期はスペシャルウィークビルドゥングスロマンだったのに対し、2期はトウカイテイオーの再起が描かれる。安易にメインキャラを死なせて涙を誘おうとするアニメは多いが、それらはフィクショナルであるが故に現実感がなく、いまいち感動できないものが多い。しかしウマ娘はそれ自体が現実のものであるという要素が、故障により段々と夢が砕かれていくトウカイテイオーの絶望を視聴者の胸により強く刻みつけるのに一役買っている。現実がフィクションのように愛や気合でどうこうなるものでないことは我々はよく知っている。だからこそトウカイテイオーの奇跡の復活は単なるフィクション以上に感動を与えるものとなったのだ。