どりふてぃんぐそうる

Twitter:@fair_mios3

2022年7・8月履修コンテンツ ワンナウツ/NEW GAME!/ゼノブレ3etc

友人曰くねねっちはアホ面の癖に作中屈指の天才らしい


この夏はゼノブレをしたり雀魂やマスターデュエルのイベントを走ったりとゲームばかりしていたせいであまりコンテンツ履修ができませんでした。ゲームって終わりがないので知識の蓄積の意味でのコスパは相当悪いんですけど、大きな快楽を得られるのでついついやってしまうんですよね。

 

 

アニメ

リコリス・リコイル(9話まで)

異世界おじさん(7話まで)

ラブライブ!スーパースター!2期(6話まで)

Engage Kiss(9話まで)

 

ゲーム

Xenoblade3

 

漫画

NEW GAME!(全13巻)

ONE OUTS(全20巻)

 

書籍

<私>のメタフィジックス

まんが学術文庫 現象学の理念

まんが学術文庫 純粋理性批判

まんが学術文庫 ツァラトゥストラはかく語りき

 

ピックアップ

リコリス・リコイル

 

 

まんが学術文庫 現象学の理念

図書館を徘徊していて気になったので読みました。この手の本は小学校の頃に図書室であらかた読んだ記憶があるのですが、どうやら数年前から別の出版社で似たようなテーマで出版されているようです。当時は蟹工船カラマーゾフの兄弟など小説の漫画化というテーマでしたが、今回読んだものは哲学書の漫画化です。原作を分かりやすくするためストーリーを新設する大胆な試みが行われていて、内容が薄くなる反面徹底的な読みやすさを誇ります。ツァラトゥストラニヒリズム、超人、永劫回帰といった主要なニーチェ用語の解説に留まるし純粋理性批判は原作と関係ないストーリーが大半を占めています。分かりやすさと内容の密度はトレードオフということは薄々分かっていましたが、YouTubeの解説動画のほうがマシなのではというクオリティで立ち読みで片付ける程度のものでした。

ところが現象学の理念に関しては一連のシリーズで異彩を放っています。まず画力がなさすぎる。ジャンルとしては福本伸行とかそっち系で内容で語るタイプ。またストーリーについても他とは一線を画しています。他作品はストーリーに強引に哲学書の用語をねじ込むスタイルなのに対し現象学の理念では哲学書の解説のためにストーリーがあります。なんなら途中からストーリーを放棄して一生解説と想定問答をやってて笑いました。どうやらこのシリーズは作画担当がシナリオも考えているようなので、正直この作者のもの以外読む必要はなさそうです。家に帰って調べたらこの作者だけは哲学科出身で著作にもそれ関連が多くて納得しました。

 

 

Xenoblade3

liveindead.hatenablog.com

書きました。当時は頭にあることを出力してそれなりに満足していたのですが、僕が言語化できなくてモヤモヤしていた部分を完璧に表現した感想記事を数日後に発見し平伏しました。

souls-seed.blogspot.com

ゼノブレ3とニーチェ、言われてみれば共通点が多くて何で気付かなかったのかと自分の不勉強を呪いましたね。

僕の解釈を付け加えるのであれば、アイオニオンの転生の世界観はニーチェ永劫回帰の思想、ノアの貴族道徳についていけない弱者はヨランやシャナイアのことで、貴族道徳は強者の理論であると批判されることを通してノアらは超人思想に行きつくわけですね。ゼノブレ2が今ここにある世界を楽園であると肯定する物語だとすれば、ゼノブレ3は今の世界を残酷な世界と捉えた上で痛みを伴いながらも不確定な未来を行くことを至上とします。1で未来視を否定し自身で未来を創ることを掲げたのであれば、その未来の良い悪いに関わらず進むべきだという超人思想に帰結するのは納得のいく話です。やってることはよくあるヒューマニズム称揚なんですけど、3作に渡って丁寧に論を進めていく手つきに改めて感動を覚えました。

 

 

ONE OUTS

ジャンププラスでは定期的に過去作の一部無料公開が行われていて、大半の作品は無料公開分以外は読まないんですが、これについては毎話の引きが抜群に上手くて全巻購入してしまいました。

ギャンブル作品の魅力って「いかにルールの穴を突いて相手を嵌めるか」「いかに上手くイカサマするか」「金や命を賭けたスリルをいかに乗り越えるか」辺りに集約されると思っていて、この作者の作品(ライアーゲームしか知らんけど)は1・2個目がスバ抜けています。ワンナウツだと彩川は見るからにギャンブルに弱そうな小悪党で、渡久地が勝つことは分かりきっているにも関わらず毎度毎度どうやって勝つのか分からないという絶妙なラインを突いてきます。

ただ他のギャンブル漫画とワンナウツの決定的な違いは、後者はギャンブル漫画でありながら野球漫画でもあるという点です。麻雀にしろオリジナルゲームにしろ、ギャンブルは頭脳戦であり知略で相手を上回った時点で勝利が確定しますが、野球はそうじゃない。戦略は野球の要素の一つでしかなく、肝心のフィジカルが伴わないと勝利できません。渡久地は盤外戦術を含め最後まで戦略負けすることはありませんでしたが、投球フォームをメタられまくった結果野球スキルの方は終盤で完全に攻略されてしまいます。ゆえに渡久地は中盤以降は選手から監督・経営者業にシフトしていきます。渡久地の本領はあくまで心理戦や頭脳といったギャンブル方向の能力にあるわけで、プレーの方はプロに任せた方が効率がいいわけです。渡久地の人心掌握術で無気力集団のチームを鼓舞し強化することで最終的に渡久地抜きで優勝するというシナリオは、ギャンブル要素の読み合い・心理戦と野球要素のチームプレー・スポ根を上手く融合させたいい展開だと思います。

 

NEW GAME!

りんさんが嫉妬深いガチレズなのがいいですね。りんとコウの百合のくだりは、りん本人は真面目にやってるのに対し読者目線ではガチすぎて引くというギャップがシーン全体をギャグとして成立させています。僕が作中で唯一笑えるギャグがりんのレズ描写なんですけど、こういうギャグで済まされるか危ういくらいの百合コメディ漫画があれば教えてください。

この手のきらら漫画って9割方ギャグシーンなのかと思ってましたが、中盤からどんどんシリアスになり登場人物が全員美少女なだけのお仕事漫画になっていました。明らかなオタク層向けの画風の割にキャラが皆意識高いのが珍しい気がします。きらら系の美少女コンテンツは部活や趣味をフックにコミュニティの関係性を深めていくのがセオリーですが、NEW GAMEのキャラは「いいクリエイターになりたい」という夢が根底にあって、それにコミュニティが付随するという構造になっています。クリエイター志向と美少女コミュニティはある程度は両立しますが、コミュニティ内でコンペして役職を決めたり技術向上のため海外に修行に行くなど、彼女らは仕事のためにコミュニティを一旦脇に置くことを選択します。ただしそれは、仕事上の対立や離別ならコミュニティは崩壊しないという関係性の強固さの裏返しでもあり、きらら美少女コンテンツの文脈にも繋がってきます。ブラックな仕事要素を美少女コミュニティでコーティングしてマイルドにした読みやすい作品でした。(オタクはブラック労働要素に拒否反応を示すため)

 

 

あとはリコリコの千束の口調ってアニメキャラなのに話し言葉でいいねとか異世界おじさんって一貫して認知の歪みをギャグ化してるよねとか書こうとしましたが意外と内容がなかったので放送後に気が向いたら書きます。