どりふてぃんぐそうる

Twitter:@fair_mios3

2022年11・12月履修コンテンツ 咲/C/ぼざろ/ポケモンSVetc

2022年総括記事でも書こうかと思いましたが、今年は定期的に履修コンテンツ記事を書いて記憶を整理していたおかげでわざわざ書く必要もなさそうです。11月下旬からは一生ポケモンして片手間にアニメを見る生活でしたが、全体的に豊作なクールだったおかげで退屈しませんでした。

 

 

アニメ

ジョジョの奇妙な冒険ストーンオーシャン(25話~38話)

咲 -Saki-(全24話)

咲 -Saki- 阿知賀編 episode of side-A(全16話)

咲 -Saki- 全国編(全13話)

C(全11話)

機動戦士ガンダム水星の魔女

アキバ冥土戦争(全12話)

ぼっち・ざ・ろっく!(全12話)

BLEACH千年血戦編(全13話)

チェンソーマン(全12話)

恋愛フロップス

 

 

ゲーム

ポケットモンスタースカーレット/ヴァイオレット

 

映画

劇場版ゆるキャン△

 

漫画

NARUTO(全72巻)

 

書籍

悪い夏

 

 

ピックアップ

咲シリーズ

麻雀を学んで約1年半、そろそろ麻雀漫画に手を出してもいいだろうと思い美少女が沢山出てる「咲」をチョイス。視聴前は超能力系アニメだと思っていて、あながち間違いでもないんですが意外と地に足着いた試合をしていました。麻雀というとギャンブルのイメージがありますが、本作はチームスポーツとしての側面を前面に押し出していて部活もののノリで楽しむことができます。

作品の目玉である多彩な能力も、麻雀という競技の性質上「運が良くなる」といった特性で表すことができます。これは部活ものと相性がいいです。例えば運要素ゼロの将棋なら対戦相手と明確な実力差がある場合逆転勝ちするのは現実的ではありません。一方麻雀なら部活ものでありがちな過去回想や気合い、仲間の応援による競技者の成長で逆転する展開も、「運量の押し付け合い」という単一の要素で能力の強さが定義されるため説得力を持たせることができます。精神面の成長はその場の実力の向上にはさほど繋がりませんが、運の良さといった論理的でない要素とはシナジーがあります。遊戯王とかで主人公が追い詰められるとトップで解決札を引いてくるのに近いです。

能力のことばかり書いてきましたが基本真面目に麻雀をしていて、ちゃんと理論派プレイヤーもいます。僕が好きなキャラであるピンク髪巨乳と援助交際してそうなキャラランキング1位の人は偶然その系統のキャラなんですが、能力バトル作品の性質上パッとしない扱いで悲しいです。

 

 

C

尊敬する大学の先輩のてらにーさんオススメのアニメ。金融を題材にした作品は珍しく斬新でした。こういうマネーゲームものって主人公が自身の利得のためにギャンブルに挑戦するのが普通ですが、「C」では他人のためにどう金を使うか?がテーマとなっています。他人のために金を使うのは敵味方共通していて、主人公は未来のため、敵の三國は現在のためと使途のベクトルが逆方向なので双方は対立します。特に面白いのが敵側はギルドを形成していますが、世界の資産を独占するためでなく、勝負に勝ち過ぎないようギリギリの戦いをするために結託しているところです。作中での勝負「ディール」の影響は現実世界にも及び、勝ちすぎてしまうと結果的に現在の世界が崩壊するので彼らはいい勝負を演出します。例えば大企業の社長をボコボコにして破産させると経営する会社の多くの従業員が路頭に迷い、彼らの鬱憤が社会に充満し景気が悪くなる、といった因果関係が資産の独占への抑止力となっている構図が上手いです。他人に配慮して勝つことで結果的に自分が得をするというのは、作中で「他人のために金を使ってこそ幸福になれる」みたいなことを言っていた三國の思想と一致します。

とここまで割と高評価してきましたが終盤の展開が個人的に微妙でした。終盤では大不況が起こり、三國は未来の金を担保に現在を救い、主人公はそれを阻止するというシナリオです。三國の行為で現在を救ったといっても、日本はかろうじて存続しているだけで不況には変わりないし子供も生まれず近いうちの破滅は変わりません。大多数の人が不幸になっている点でこの行為は共感しづらい上に、功利主義的な三國の思想ともズレています。主人公の魅力があまりなく三國のキャラで面白さを保っているところもあったので終盤が悔やまれる惜しい作品でした。

 

 

ぼっち・ざ・ろっく!

さすがに今期の覇権の面白さで、最終回後のロスに耐えられず原作を買ってしまいました。漫画版を読んで改めてアニメを見ると、アニメは演出など原作の補完に優れています。きらら作品ってキャラの顔と文字でコマが埋まってしまいテンポも一定という4コマ作品特有の縛りがありますが、ぼざろアニメは背景や間の使い方が上手くてその弱点を克服しています。今期で他にアニメ化で良くなった作品として「BLEACH」が挙げられます。以前のアニメ化は原作の進みの遅さによるテンポの悪さや通年放送ゆえの作画の悪さでクオリティは微妙でしたが、今回は完結している原作をそのままアニメ化しているので尺の問題を無視してハイクオリティな仕上がりです。一方今期の「チェンソーマン」のアニメは潤沢な資金で作った割にオタクからの評価はイマイチでした。それは原作のコマ割りやテンポによる独特の雰囲気を再現しきれなかったからだと思っています。つまりぼざろは4コマの制約を、BLEACHは前アニメの尺とテンポの問題を克服したことで成功し、チェンソーは原作の間やテンポを表現できなかったことでアニメ化の明暗が分かれたのだと解釈しています。

内容についてもぼざろはコメディシーンが面白くて、特にぼっちちゃんの多彩な陰キャネタは共感するところが多々あります。ぼっちちゃんって好きで一人になったわけじゃなくて、本当は真っ当に友達と青春を送りたかったけどコミュ障でそれができなかったから青春コンプレックスを抱えることになりました。普通の青春に関心がなく他人からの評価を気にしない人間は山田リョウのような孤独を愛する人間であって、ぼっちちゃんはそうではありません。理想と現実のギャップから自己肯定感が下がり、自己評価が低いから他人からの評価を期待して承認欲求モンスターになってしまったという彼女の性質の描写が抜群に上手くて感動しました。特に、他人との接点が薄いからお世辞を理解できずすぐ調子に乗るとか、会話の前に必ず「あっ」を付けるとか(原作でマジで殆どの台詞についてて驚きました)、コミュ障周りのネタのリアリティは秀逸でした。

ギターヒーローとしてネットで評価され、温かい家族に囲まれても後天的にリアルで評価される指標を持たなかった彼女は自己肯定感が低いままです。虹夏ちゃんに誘われてバンドをするようになってもすぐにコミュ障や青春コンプが解消されるわけではなく、一つずつ理想を実現することでしか真人間に近付けません。バンドの成長物語なら他の掲載誌でもできますが、きらら作品にありがちな「圧倒的な善性で構成される美少女コミュニティ」でないとぼっちちゃんの治療に必要な「記号化された青春」を送れないわけですね。

それとぼっちちゃんを軸にするにあたってバンドが部活動ではなくライブハウスを舞台にしているのもよかったです。これまで学校に馴染めなかったぼっちちゃんにとって学校の延長の部活は劇薬かもしれませんが、完全に学外のコミュニティのライブハウスなら新しい関係性を作りやすいです。加えて、実力がモノを言うライブハウスだからこそギターの腕だけは確かなぼっちちゃんにも活躍の芽が生まれます。そうして最終回で学校の文化祭で演奏することで1クールを通した学外でのぼっちちゃんの成長を実感できる構図になっています。

また、残酷なのがぼっちちゃんだけは実力を評価されているのに対し他3人はそうでないという点です。ライターやきくりなど大人から注目されるのはバンドそのものではなくぼっちちゃんだけです。8話や最終話のライブの危機も、コミュ力が高いとか性格が良いとかでは解決できませんでした。しょせん虹夏と山田と喜多の3人は良くも悪くも一般人でしかなく、彼女らだけではバンドとして上に行くことは難しいです。ただしぼっちちゃんのコミュ障と青春コンプレックスを治すには3人は必要だし、逆に3人はバンドとして成長するためにぼっちちゃんの圧倒的な才能を必要としているという相互に依存した関係が彼女たちは成り立っています。これを特に象徴しているのが喜多ちゃんとの関係、所謂ぼ喜多です。ぼっちちゃんは青春を謳歌する喜多ちゃんに憧れ、反対に喜多ちゃんは自分とは違い突出した才能を持つぼっちちゃんに憧れてる、相互に足りないものを持つ相手への願望があるのがいいですね。アニメのぼ喜多がやたら思わせぶりなので漫画を読んだら普通にギャグで消化されがちなのが悲報ですが、今後も僕はぼ喜多を応援し続けています。

 

 

ポケモンSV

戦闘狂なので早急なランクマッチ参戦のためシナリオはさっさと終わらせようと思っていましたが思いの外ストーリーが良かったです。ポケモンって世界的なコンテンツなので昨今はかなりリベラルに配慮していますが、今作はそれらをケアしつつ上質なストーリーに仕上がっていました。「自分だけの宝物を見つける」というゲーム中で何度か提示されるフレーズのとおり、何をやってもいいという方針はオープンワールド要素と噛み合っています。リベラル思想から派生したポリコレへの配慮も行き届いており、制服が男女同じだったり多人種の人間が登場したり、イケメン女子やプロレスラー女、家庭的な男など例を挙げればキリがありません。それらの要素が押しつけがましくなくスッと挿入される辺りレベルが高いです。

今回のシナリオは学校が舞台なだけに道徳の教材的な側面が強いです。先述のリベラル用やポリコレ要素しかり「相手を否定しない」思想が通底していて、基本放任主義で要所要所で大人が子供に教えるという構図は最後まで一貫しています。伝説のポケモンや子供である主人公が成長して最後に戦う相手が(友人の)親ってのもいいですね。ここでのラスボスの博士は倒すべき悪ではなく救うべき一人の大人というのは、博士は最初に主人公を導く、親のような存在という従来のスタンスの反転で、主人公の成長を強調するのに最も適した立場の大人なので感心しました。

過去作と比較すると話のスケールは小さいですが、総じて綺麗に纏まっていて過去最高の仕上がりだったと思います。

 

 

アキバ冥土戦争

中盤までは面白かったですが後半失速した印象。1話の歌いながら銃を乱射するシーンは印象的で覇権きたかと思っていましたが、中盤からメイド服着てるだけの普通の任侠ヤクザものになってしまい残念。アキバのメイド喫茶群をヤクザのそれに当てはめる設定自体は面白いですが、さすがにそれ一本で最後まで引っ張るのは無理があるし、コメディシーンは好きでしたが終盤シリアスになるにつれてそれも減っていってしまいました。

1話の銃乱射は実はエアガンとか血しぶきはケチャップとかそんなオチかと思ったらしっかり殺人をしていて、登場人物の誰もが最終的に暴力に走る倫理観のなさはかなり好きです。特に最初は常識人枠だったなごみも、段々狂ってきて最終的に最も暴力的なキャラになり戦争を仕掛けるのはよかったです。最近は行儀の良いアニメが多いのでこれくらいネジが飛んだアニメは定期的に欲しいです。ニコニコで見るのにオススメのアニメでした。

 

 

恋愛フロップス

多分自分しか見てないからネタで覇権ってツイートしてたら中盤から本当に覇権のオーラを見せ始めて驚くも、普通に終盤つまらなかったアニメ。やってることはちょっと前の名作エロゲーで、序盤は各ヒロインと交流を深め中盤で世界の謎が明かされていくタイプのシナリオです。一言で表現するなら汚くて泣けないリトバスだと思ってください。誰も今更見ないと思うのでネタバレしますが、実は主人公が過ごしてたと思ってた世界は仮想現実でヒロインはAIだったという世界の秘密が明かされるシーンはベタですが盛り上がりました。以降メインヒロインを助けに行くシリアス展開になるんですがまあ面白くない。ヒロインとの感動の離別シーンも序盤下ネタまみれだったせいでカタルシスも何もないので終始冷めた目で眺めてました。思い返してみれば一生序盤の下ネタ路線を擦ってた方が楽しめたかもしれません。

アニメは見なくてもいいですが曲はよかったので暇な人はOPを聞いてみてください。